視線恐怖症は、「自分が他人からどう見られているか」もしくは「自分の視線が何か迷惑を掛けているのでは」と視線のことばかり考えて日常生活に支障をきたす症状です。

人の目が気になって外出できない、電車に乗っていても視線が気になる。

学校や職場で自分の視線がコントロールできず周りに迷惑を掛けてしまう。

どちらにしても視線が気になって仕方ない状態はしんどいものです。

誰しも多少なり人の目を気にして生きています。

とくに日本人は村社会の影響で世間の目を気にしやすいですが、全員が視線恐怖症になるわけではありません。

自分にとって大切なことを見失い、「自分がどう見られたか、どこを見たか」に執着してしまうから視線恐怖症になるのです。

視線恐怖症の種類

視線恐怖症は以下の4つに分類することができます。

「他人に迷惑をかけてしまう」という加害性に違いはありますが、「変に思われたらどうしよう」という不安は共通しています。

他者視線恐怖症

他人の視線が気になってどう見られているかにしつこくとらわれる視線恐怖症。

視線恐怖症の中でもとくに多く、対人恐怖症の方全員に共通する症状とも言えます。

自分の容姿や行動が他人から変に見られるのではないか、ダメな人間だと評価されるのではないかといったことを怖れます。

自己視線恐怖症

自分の視線が相手に嫌な思いをさせてしまっているという自責の念にかられる視線恐怖症。

目を合わせないといけないと思うのに相手の目が見れない、目を合わせると睨んでしまうといった症状があります。

目を合わせることで他人に迷惑を掛けてしまうことを怖れる点が後述する正視恐怖症との違いです。

正視恐怖症

人と面と向かった時に目を合わせることができない視線恐怖症。

自己視線恐怖症と似ているのですが、正視恐怖症は自分の視線が相手の迷惑になることではなく、目を合わせることへの恥ずかしさによる症状である点で異なります。

他者配慮による日本文化から生まれた対人恐怖症よりも、外来の社交不安障害の方がしっくりくる感じがします。

脇見恐怖症

他人を自分の視界の中に入れただけで迷惑を掛けてしまったと激しく思い込む視線恐怖症。

視線恐怖症の中でも重度の部類であり、カウンセリングを受けても克服するまである程度の期間を要するケースがほとんどです。

通常のカウンセリングとは違ったアプローチが必要な面もあるため、カウンセリングを受ける場合は脇見恐怖症の性質を熟知したカウンセラーを選ぶ必要があると思います。

視線恐怖症の実態

本当の自分がバレることを恐れる心理

「目は口ほどに物を言う」ということわざがあるように、いくらごまかそうとしても目に本心が出てしまうというのは昔から言われていることです。

目を合わせることによって、本当の自分が出てしまうんじゃないか。

目を見られることによって、本当の自分が見透かされるんじゃないか。

視線恐怖の根源はまさにここにあります。

本当の自分を相手に知られるのが怖いから、自分の目、他人の目を異常に意識してしまうわけです。

なぜ本当の自分を知られるのが怖いのでしょうか?

それは本当の自分が他人に受け入れてもらえない、認められないと思っているから。

人間の5大欲求の一つに集団帰属の欲求(人とかかわりたい欲求)があることだけでなく、一人で居ると「友達がいない寂しい人だ」と見られがちな世間の目がある。

本当の自分を出すことによって孤立してしまうかと思うと耐えられないほどの恐怖心に襲われてしまいます。

ばれないようにばれないようにとひた隠して生きていく、まるで罪でも犯したかのように人の目に怯えて暮らすことになるのです。

周りに理解してもらえない苦しみ

視線恐怖症は周りになかなか理解してもらえずに苦しむ面もあります。

なぜなら、悩んでいる方が以下のようなことを話すからです。

「私が見てしまうことで相手に迷惑を掛けてしまっている」

「いつも見たくないのに見てしまうので嫌われている」

「私の服装とか髪型がおかしいとみんなが馬鹿にしている」

私も視線恐怖症で苦しんだ経験があるから理解できますが、たぶん経験がない人には理解されないでしょう。

だから、悩んだ経験がない人に相談すると

「自意識過剰じゃないの?」

「そんなこと気にしなければいいじゃない」

「そんなに注目されてないから大丈夫だよ」

と失笑しながら言われることも多々あるわけです。

別に間違ったことは言っていません。

しかし、視線恐怖症になると頭で理解はしていても、解決することができないから悩み苦しんでいるのです。(できるなら視線恐怖症ではありません)

実際に見られているケースは意外と多い

対人恐怖症全般にも言えますが、何かを意識しすぎたり気にしすぎたりすると行動や仕草がおかしくなります。

例えば、

  • 視線を意識しすぎて必要以上に目を合わせてしまう
  • 見られている感覚が強すぎてぎこちない歩き方になっている
  • 見ないようにと意識しすぎて緊張するから睨んでしまう
  • 脇見をしてしまうから顔が上げられなくなる

といったことが起こりますので、「何かおかしいな」と相手から見られることが出てしまうわけです。

視線恐怖症を理解していない人からは「見られているわけない」と言われると思いますが、実際に見られているケースもあるということも考慮した上での対策も必要となってきます。

視線恐怖症を克服するためにカウンセリングでおこなうこと

視線恐怖症はタイプによって対応が異なります。

他者視線恐怖症と正視恐怖症は、自信をつけていくこと、自己肯定感を高めることがメイン。

対話の中で比較的早い段階から認知の修正に踏み込むことが可能です。

自己視線恐怖症と脇見恐怖症は、確信型の対人恐怖症に分類されるため、まず認知の歪みを生み出す感情へのアプローチから入ります。

確信レベルの認知の歪みにいきなりアプローチしてもほとんど効果がありませんからね。

他にも視線の対処法や緊張緩和の方法を身に付けたり、生活習慣を改善したり、コミュニケーションの取り方を変えてみたり…

アドバイスをもとにできる範囲のことから少しずつ取り組んで継続。

最終的に他人基準から抜け出し自分基準になれば視線恐怖症はなくなるのです。

カウンセリングで対面するとき、目を合わせることに苦痛を感じる人が多いため、適度に視線を外す時間を作りながら話すようにしています。

人間関係の悩み専門カウンセリング(大阪)